再開への不安を和らげ、新しい取り組みに挑戦
withコロナでの通いの場のあり方を考える「通いの場サミット」を開催

3月 16 日(火)、Zoomを利用したオンライン上で「通いの場サミット」が開催されました。テーマは「withコロナでの通いの場のあり方を考える」。特徴的な取組が行われている通いの場の活動を発表。続くパネルディスカッションでは、新型コロナウィルス感染症の流行による運営者や住民の変化や今後の活動の可能性を語り合いました。

●出演者

兵庫県洲本市 洲本市介護福祉課 畑山 浩志さん
高知県高知市 高齢者支援課 小川 佐知さん
奈良県生駒市 生駒市地域包括ケア推進課 澤辺 誠さん
大阪府門真市 ゆめ伴プロジェクト in 門真実行委員会 総合プロデューサー 森 安美さん
司会進行 朝日新聞社なかまぁる編集長 冨岡 史穂さん

●発表

動画やテレビを活用するなど、知恵を絞って活動

最初の発表者は洲本市介護福祉課の畑山浩志さん。 同市の通いの場の中心は、住民主体のいきいき百歳体操(高知市の理学療法士が開発し全国に広がっている筋力運動を主にした体操)のグループで、いわゆる「コロナ禍」で活動が縮小されつつもマスク着用などの感染予防対策をしながら続けている現状を紹介しました。また、体操会場に通えない方も毎日体操できるように、ストレッチをメインにした「GENKIすもっと体操」を考案し、YouTubeやケーブルテレビで配信しています。「体操を再開する会場には市職員が伺い、感染予防の話をしたり困り事の相談に乗ったりして対話を心掛けています」と話しました。

次は高知市高齢者支援課の小川佐知さん。いきいき百歳体操は住民が主体的に取り組み、現在は一部に休止会場があるものの、グループを少人数に分けるなどの工夫で再開している様子を伝えました。昨年に緊急事態宣言が出た時は、各体操会場の自粛を要請し、百歳体操の動画を高知市のホームページに公開。「高齢者が利用しやすいテレビの活用を考え、NHK高知放送局にこの体操の放送を依頼しました」。NHKの協力で短縮版を作り、約1カ月間放送され、大きな反響があったそうです。

続いて生駒市地域包括ケア推進課の澤辺誠さん。地域の通いの場は、ボランティアによって自主的に運営されているいきいき百歳体操などがあることを紹介した上で、緊急事態宣言解除後に再開に悩む運営の代表者にどのような対応をしたのか具体的に報告しました。たとえば、昨年6月ごろに通いの場再開の動きがあったときは、地域包括支援センターと市で担当を分けた上で、市担当の通いの場には代表者と澤辺さんら市職員が個別面談を実施したことについて発表。感染防止対策の基準など市の考えを説明し、話し合ったことをしっかり記録に残し、代表者と市との合意に基づいた再開であることを明確にしました。「(後で何かあったときに)『代表の方が一人で決めた』とならないようにしたかったのです」と言います。7月から再開でき、新たなグループも発足。百歳体操の会場は今も増えているそうです。

門真市の森安美さんは、「「ゆめ伴プロジェクト in 門真実行委員会」総合プロデューサーとして、通いの場の実践者の立場からの活動を発表しました。多様な団体が一つにつながり「認知症になっても輝けるまち」の実現を目指し、認知症の人と市民がカフェスタッフになったり、綿花や野菜を栽培したりするなどの活動を展開しています。ところがコロナ禍ですべての活動が停止に。「こんな時だからこそ、心でつながることが大切だと考えました」。「集まる」という従来のやり方にこだわらず、高齢者が自宅や施設などそれぞれの場所で取り組める手作りマスクや折り鶴製作に挑戦。その後は、高齢者施設とZoomでつないだ交流会なども行い、「集い」と「オンライン」を組み合わせたハイブリッド型の活動も視野に入れています。

●パネルディスカッション

仲間とのつながる大切さを再確認し、オンラインにも期待

パネルディスカッションでは、体操の動画を作ったもののそれを住民にどう知ってもらう、またインターネットの使い方を高齢者にどう説明するかに悩んだことが語られました。通いの場でZoomを活用している森さんは、「オンラインで地域のネットワークを作ることができれば、直接会わなくても交流できるなど色々な問題がクリアになっていくと思います」とオンラインに期待を寄せます。

冨岡編集長の「コロナ禍で、通いの場の運営者や住民にどのような変化がありましたか」という問いに、畑山さんは、「通いの場で仲間になっているからこそ、お互いに見守ることができる。通いの場は地域のつながりを確認できる場としても重要だと再発見しました」と話しました。小川さんは、「住民の方はコロナをきっかけに、連絡先を教え合ったり、体操を休む方の家を訪問したりするようになりました」と住民の変化を報告。澤辺さんは、通いの場の代表者と話をするなかで「(通いの場が)近くにある必要性を強く感じていただけた。自分たちの地域の人が、自分たちの地域で集まれるようにしよう、と考えてくださった」と伝えました。

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