通いの場で活かすオーラルフレイル対応マニュアル
〈2020年版〉
~高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に向けて~

このマニュアルは、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」において「通いの場(サロン)」などを拠点に地域でオーラルフレイル対策の担い手となる方々に向け作成しました。 内容の一部をご紹介します。

出所:公益社団法人 日本歯科医師会 リーフレット「オーラルフレイル」一部改変

高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施における医療専門職の役割

 フレイル対策は、運動、栄養、口腔(こうくう)、社会参加を一体的に実施することにより大きな効果が見込まれますので、市町村においては積極的に歯科衛生士等を活用し、口腔への取り組みを充実させることが大切です。

オーラルフレイルへの対応が必要な高齢者に対する通いの場での対策

 通いの場へ歯科衛生士(歯科医師の従事も可能)が赴くことで、後期高齢者の質問票等の実施により、オーラルフレイルへの対応が必要な者を把握し、口腔体操等の指導や、口腔機能向上を目的とした事業への参加推奨、歯科医療機関との連携を行うことが可能になります。

 さらにオーラルフレイルへの対応を継続するために、オーラルフレイルの普及啓発、改善プログラムへの支援等を通いの場において実施して行くことが重要であり、通いの場の多様化にも役立つと期待されています。

今なぜオーラルフレイルなのか?

 オーラルフレイルは、口の機能低下、食べる機能の障がい、さらには心身の機能低下までつながる負の連鎖が生じてしまうことに対して警鐘を鳴らした概念です。

参考:東京都健康長寿医療センター (作図/平野浩彦)

 オーラルフレイルは4つのレベルから構成され、右に進むほど重度化していきます。レベル別に様々な制度などで対応されており(図下段)、その重度化に伴い、特に身体的フレイルに対する影響度が増大する概念となっています。マニュアルでは特に、第1〜3レベルを中心に概説されています。

オーラルフレイル対策に活用できる事業

 ここでは特に第1〜3レベルのオーラルフレイル対策として活用できる市町村事業をまとめて紹介します。
 市町村においては、地域の歯科医師会や歯科衛生士会等の関係団体や歯科医療機関と密接に連携しながら、地域の高齢者の全身状態や口腔の機能低下の状態に応じた各種の事業を整備し、オーラルフレイル対策を進めていくことが期待されます。後期高齢者を対象とした保健事業や、高齢者を対象とした介護予防事業、口腔関連の事業が厚生労働省において制度化(市町村への財源措置が含まれる)されています。

すぐできる! 健口体操

 オーラルフレイル対策・口腔機能向上を目的とした、短時間で実施できる体操を紹介します。
 既存の通いの場の機能を強化する場合(口腔の体操を追加で取り入れる)や、口腔機能向上を目的とした通いの場を新たに立ち上げる時などにご活用ください。
 マニュアルには、他にも通いの場で活用できる体操やアクティビティーを掲載していますので、ご参照ください。

かみかみ体操・ゴクゴク体操のPDFダウンロードはこちら

スクリーニングツール

■後期高齢者の質問票
 後期高齢者健診(フレイル健診)のみならず、通いの場や地域包括センター等での積極的な活用が求められています。高齢者のフレイルに対する関心を高めるとともに、保健事業の対象者の把握等にも利用できます。

出所:厚生労働省「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の推進に向けたプログラム検討班報告書」

■オーラルフレイルのセルフチェック表
 口の健康状態を把握し、オーラルフレイルへの関心を持ってもらうのに有用な質問票です。


出所:公益社団法人日本歯科医師会リーフレット「オーラルフレイル」

 本リーフレット及び詳細に取りまとめたマニュアル「通いの場で活かすオーラルフレイル対応マニュアル〜高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に向けて〜《2020年版》」は、日本歯科医師会ホームページからもダウンロードできます。

公益社団法人 日本歯科医師会

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