介護予防とは?社会参加の重要性って?

<一般の高齢者の方へ>
「介護予防」に取り組んで、いつまでも元気に自分らしく過ごしましょう!

介護予防って何でしょう

介護予防とは「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと」です。これは、単に運動機能や栄養状態といった心身機能の改善だけを目指すものではなく、心身機能の改善や環境調整などを通じて、日常生活の活動性を高め、家庭や社会への参加を促し、それによって一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組を支援して、生活の質(QOL)の向上を目指すものです。

元気の秘訣はトータルアプローチ

元気を保つためには、毎日の生活の中で次の要素をバランスよく組み合わせることが大切です。 運動:散歩や体操など、体を動かすこと
栄養:主食・主菜・副菜を組み合わせて、1日3食しっかり食べましょう。
口腔:おしゃべりや毎日のケアで、お口の健康を保つこと
社会参加:外に出て、人と会い、楽しく交流すること
この中でも、元気を保つための土台として特に大切なのが「社会参加」です。

社会参加は元気を保つ秘訣

「最近、誰とも話していないな」「出かけるのが億劫だな」と感じていませんか? 人と会う機会が減ると、外に出て動く量が減ったり、お腹も空かないからとご飯を食べなくなったり、結果的に体力や気力が落ちてしまうという悪循環に陥りやすくなります。 最新の研究でも、趣味の集まりやボランティア、地域の体操教室などに参加している人は、そうでない人に比べて、近い将来に介護が必要になったり、認知症になったりするリスクが下がるとの報告があります。

「通いの場」へ出かけてみませんか?

地域には、ご近所の方が集まって体操をしたり、お茶を飲んだりする「通いの場」がたくさんあります。 一人で頑張るよりも、みんなで集まり、笑い合いながら過ごすだけで、自然と「社会参加」「運動」「口腔」に働きかけることができ、帰りに買い物をしておいしいごはんを食べることで「栄養」にもつながります。 まずはご近所の「通いの場」を調べてみて、ためしに遊びに行ってみませんか?

<運営者の方へ>
「通いの場」は地域の元気をつくる原動力!

みなさんの活動が「介護予防の最前線」です

年齢を重ねて家に閉じこもりがちになると、歩く機会が減り、人とふれあって話す機会も減少します。そうすると気力も失われがちになり、結果として食事も適当になってしまったりします。
「通いの場」があることで、家から出ることにつながり、友人とお茶を飲んだり、楽しくおしゃべりをしたりすることにつながり、人とのつながりを感じることができます。 介護予防において最も効果的とされる「運動」「栄養」「口腔」「社会参加」のトータルアプローチが、みなさんが運営してくださる通いの場で自然と実践されています。

データが証明する「通いの場」の効果

近年の大規模な調査研究でも、通いの場の効果が証明されています。 スポーツや趣味の会、地域活動に参加している高齢者は、要介護状態になるリスクが低く、参加頻度が高いほど予防効果が高まることが分かっています(※1)。 また、「身体活動」「多様な食品摂取」「社会交流」の3つを組み合わせて実践している人は、要介護化のリスクが劇的に低下することが報告されています(※2)。 皆様の活動は、科学的にも地域の人々の健康寿命を延ばしていると実証されているのです。 ※1 参考)JAGES(Japan Gerontological Evaluation Study, 日本老年学的評価研究):
https://www.jages.net/library/pressrelease/?action=cabinet_action_main_download&block_id=3333&room_id=549&cabinet_id=224&file_id=8699&upload_id=10613
※2 参考)東京都健康長寿医療センター研究所:
https://www.tmghig.jp/research/release/2022/0419.html

運営すること自体が「最高の介護予防」

通いの場の効果は、何も参加してくださる方々だけに発揮されるものではありません。 この場を企画し、周囲に声をかけ、運営に携わっているみなさんご自身にこそ、最大の介護予防になっているのです。 「誰かのために役立っている」「自分の役割がある」という実感は、心身を若々しく保つ秘訣です。 みなさんの活動は「地域づくり」そのものです。ぜひ、無理のない範囲で、参加者と一緒に地域づくりを楽しんでください。

<市町村職員(介護予防担当者)の方へ>
地域づくりによる一般介護予防事業の推進とエビデンスに基づくアプローチ

介護予防の法的位置づけと保険者の責務

介護保険法第1条では、高齢者が「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」にすることが介護保険制度の目的として掲げられています。また、同法第4条では「国民の努力及び義務」として、自ら要介護状態となることを予防し、健康の保持増進に努めることが明記されています。 市町村は単に介護保険制度における給付を行うだけでなく、住民がこの努力義務を果たせるよう、介護予防に資する環境を整備する責務を負っています。

介護予防のパラダイムシフトと高まる「通いの場」への期待

かつての介護予防は専門職主導型の機能回復訓練が主流でしたが、現在では住民自身が日常的に参加できる「通いの場」をベースとした「地域づくりによる介護予防」へと大きく転換しています。 国もこの取組を強く推進しており、通いの場のKPIとして、経済財政諮問会議等では「2040年の姿として通いの場への参加率15%を目指す」ことを掲げています。 住民主体を基本としつつ、専門職の関与や多様な関係者との連携による通いの場をはじめとした社会参加の場の充実が急務となっています。

最新のエビデンスが示す社会参加の重要性

自治体の施策を展開する上で、エビデンスに基づく政策立案は極めて重要です。ここでは行政施策として通いの場をはじめとする社会参加の場を広げることの効果について、ほんの一部を紹介します。 参考)株式会社三菱総合研究所「介護予防事業等の効果検証に関する調査研究事業」:
https://pubpjt.mri.co.jp/pjt_related/roujinhoken/index.html#anchor-r6_1110

○月に1回程度開かれている町の高齢者サロンに参加している人たちは、参加していない人たちに比べて要介護状態になるリスクが約半分に抑制されていた。 ○フレイル高齢者であっても、社会参加をしている人は、6年後に要介護認定を受けているリスクが、趣味の会で0.74倍、スポーツの会で0.72倍、ボランティアで0.79倍であった。 ○通いの場に参加している群は、していない群に比べ2.5倍、2年後の主観的健康感が強かった。 ○通いの場やボランティア活動等の地域介護予防活動支援事業について、高齢者100人当たり1回の実施は、フレイル・リスクを11%引き下げることと関連していた。

保険者に求められる「地域をデザインする」視点と今後の展望

こうした知見を踏まえ、保険者には単なる事業の執行ではなく、住民や専門職、民間企業など多様な主体と連携し「地域をデザインする」視点が求められます。 具体的には、医療・介護の相談窓口等から高齢者を通いの場等へつなぐ社会参加の促進や、高齢者自身が地域支援の担い手として主体的に参加できる活動の選択肢を広げることが重要です。 さらに、参加人数だけでなく、介護認定率などの客観的データを用いた事業評価を行う仕組みも不可欠となります。 介護予防施策の在り方は、地域の特性に応じて多様に変化します。このことを踏まえて、我がまちの介護予防の姿について改めて考え、住民をはじめとした関係者と目線を合わせた上で、我がまちをデザインしていきましょう。

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